黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
17話「褐色の肌」
17話「褐色の肌」
シュリは水音の薬が完全に抜けきるまで、甘やかしすぎなぐらいに介抱してくれた。
食事や着替えの手伝い、そして、気分転換に外へ散歩にも連れていってくれた。
その時に、黒のスラム街を初めて明るい時にみたが、どこも廃墟のような建物で、人が住んでいるのが不思議なぐらいだった。シュリに抱き抱えられながら街を見ると、デコボコの道の脇には、家もなくその場で寝てしまっている人々もいた。女子ども関係なく、皆ボロボロにやつれていた。
自分のせいでもなく、ただ生まれてきたときの刻印だけでこうなってしまう世界はおかしい、そんな風に水音は強く思ったのだ。
レイトは2日と言っていたが、水音が普段通りに話せるようになったのは、3日ぐらいかかってしまった。その間、長くなってしまった症状を心配したシュリは、お金を使って青草の街にある病院に行こうと言ってくれたが、水音はそれをやんわりと断った。自分の体は、自分がよくわかっており、水音はすっかり元通りになったと感じ取っていた。
「シュリ、看病してくれてありがとう。今日はもとても気分もいいの。」
「そうか。よかった。」
4日目の朝、水音が目を覚ますとシュリはもう朝食を作ってくれていた。水音が頷いたりしながら味付けを教えたので、シュリはスープは味がついている美味しいものが作れるようになっていた。それが嬉しいのか、中身の野菜を変えながらシュリは毎日のように作ってくれていた。
「シュリのスープとてもおいしかった。ずっと、言いたかったの。」
「………おまえ薬の症状の時は無意識になってるんじゃないのか?」
「え?ううん、頭はしっかり考えられて動いてたかな。すぐに眠くなっちゃうけど……だから、シュリの話に返事出来なかったり、言葉出せなかったのは辛かった、かな。」
「………なんだよ。」
シュリは、薬の症状が出ていた時は、ただボーッとしているだけだと思っていたようで、何かを思い出したのか、少しだけ頬を赤らめて水音から視線を反らした。