黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
話しは、朝食の後にしよう、とシュリが言ったので、水音は、久しぶりにお湯に浸かることにした。
レイトのおうちのお風呂よりもかなり狭くて足を伸ばしたら足先が出てしまうぐらいなのに、水音はこのお風呂の方が何倍も安心できた。
朝食は、お肉や野菜を挟んだパンに、シュリ特製のスープだった。
パンは、元の世界のサンドイッチのようなもので、お肉にはしっかりと味がついていた。
薬で体が動かなかったときは、スープしか飲めなかったせいか、一口食べると自分が空腹だったことに気が付いた。
シュリのつくったパンを、勢いよく食べるのを見て、シュリは微笑みながら自分の分のパンも分けてくれた。「俺の女は食いしん坊だな。」と笑っていたけれど、水音はその言葉を聞いて、ドキッとしてまだ慣れない「俺の女」という言葉の意味に、照れてしまった。
楽しい朝食の時間が終わり、水音は飲み物を準備して、シュリに渡した。
シュリは、一口それを飲んでから、しばらく考え込むようにして、ゆっくりと口を開いた。
「そうだな……何から話そうかと悩んだんだけど。昔の事からゆっくり話す。俺と、レイトはこの黒のスラム街で育ったんだ。」
シュリは、遠くを見つめながら懐かしそうに目を細めてた。そこには、キラキラとした輝いた目はなく、どこか寂しそうだった。先程は宝石のように光ってた彼の瞳は、今では闇そのものになっていた。