黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「レイトは、家族は皆、白蓮や青草だったみたいで、生まれてすぐに、ここに捨てられた。もの好きな女が、拾って育てたみたいだけど、3歳ぐらいから働かされるようになったり、暴力もあり、レイトはそこから逃げ出して、こっそりとひとりで暮らしていたんだ。そのときに俺と出会った。」
「3歳でひとりになってしまうなんて……。」
黒のスラムの現実をしり、水音は愕然としてしまう。そして、レイトが黒の刻印を嫌がり憎むのを少しだけだがわかったような気がした。
「俺も母親がスラムにいたけど、レイトと出会った頃に死んだから、俺とレイトは二人で暮らすようになったんだ。」
「二人は親友だったのね。」
「まぁ……な。俺は今でもアイツが大切なんだけどな。考え方は違うけど、あいつを幸せにしたいと思ってる。」
「そうなんだ。」
シュリがレイトの話をするときは、先程までの顔とは少しだけ違い、友達を自慢するような、そんな得意気な顔だった。シュリはレイトを大切にしているのが、伝わってきた。
「俺たちは、生きるためにかなり悪いことをやってたよ。それは仕方がないって思っていたし、もちろん、俺らがやられることも多かった。だから、強くなるためにふたりで「訓練しよう!」って、戦いごっこみたいのもやったりしてた。」
「だから、ふたりともあんなに強いのね。」
「まぁな。そんなとき、俺はレイトにずっと隠していた事を打ち明けたんだ。」
「………隠してたこと?」
すると、シュリはおもむろに服を脱ぎ始めた。
水音はビックリして彼を見つめてしまう。
上半身裸になった彼の胸には黒の刻印がある。
しかし、視線を下にずらしていくと、信じられない物が目に飛び込んできた。
綺麗な蓮の花が描かれた白色の刻印。それは、褐色のシュリの肌にとても合い、肌に咲いた本当の花のようだった。
「俺は、白蓮の刻印の持ち主だって事を。」