黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「そんな、まさか………。」
「その顔、やっぱりおまえの母親だったか。」
「私のお母さんもこの世界にいるの!?ねぇ、シュリ教えてっっ!!」
水音は、驚き、そしてパニックを起こしてしまった。
大好きだった母親。それなのに、ある日突然、自分の前から消えてしまった。それ以来、悲しみの中、一人で暮らしていくうちに、水音の中に、母親が憎らしく思ってしまう事があった。
どうして自分を置いていってしまったの?
どうして、何も言ってくれなかったの?
どうして、私を独りきりにしたの?
嫌いになってしまった?
そんなことをずっと考えていた。
けれども、水音と同じようにこの世界に来ていたとしたら、自分を捨てたのではないかもしれない。
そんな、期待が水音を焦らせた。
「水音、落ち着け。ゆっくりと話す。」
「あ、ごめんなさい。」
テーブルの上で、水音の手を両手で包みながら、シュリは優しく慰めるように言ってくれる。水音は手から彼の体温を感じると、彼の鼓動が伝わったかのように、すぐに落ち着きを取り戻した。
「雪香さんは、俺とレイトに出会った時、ここに来るのは2回目になる、そう言っていたんだ。」
シュリは、雪香を懐かしむように水音を見つめた。そして、水音の母親の話をゆっくりと語り始めた。