黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
持っている服の中でも、良い服を見にまとい、そして、昨日の夜には、湖で体や髪を綺麗にした。
不審に思われないかと不安であったけれど、白蓮の領地にはあっさりと入ることが出来た。
白蓮の領地の前には、大きな塀があるのは知っていた。そして、その中に入るには門番に白蓮の刻印を見せなければいけない。体のどこにあるかわからない刻印のため、女の人は、女性の門番が裏で確認すると聞いたことがあった。
シュリとが恐る恐る門番の男に声を掛けると、男は始めはギロリと睨むようにこちらを見ていた。
しかし、シュリが自分の服を捲り白蓮の刻印を見せると態度は一転した。
どうしてボロボロの服にやつれた顔をしているのか不思議そうではあった。
「白蓮の坊っちゃんでしたか。どうぞ、お入りください。」
そう言うと、丁寧にお辞儀をして中にいれてくれた。ニコニコと愛想笑いをする男を見つめつつ、シュリは大きな立派な門から、白蓮の領地へと足を踏み入れた。
入った瞬間、ここはどこなのだろうか。天国とはこの場所ではないかと思った。
色とりどりの城のような建物に、緑や花場がいろいろな所で伸び伸びと咲いている。
人々は、きらびやかで自由な服を見にまとい、笑顔で歩いている。黒のスラムや青草の街とは全く違っていた。
白蓮はお金はいらないと聞いていたので、試しに店に入り服がほしいと言うと、少しだけ驚いた顔をしたけれども、すぐにその服を丁寧に畳んで袋に入れてくれた。
シュリは店を出て、すぐにその服を着た。
真っ黒な服だったけれど、フードがついておりかぶると顔が隠れるものだったので、シュリはフードを被ってまた歩き始めた。
図書館を見つける間、シュリはこの街の様子を観察し、覚えようとした。生活するためのルールはどんなことなのか、白蓮の刻印らしさとは。
それを見続けながら、シュリはある事を考え付いた。