黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「シュ、シュリっ!?」
水音は、驚いて顔を染めながら目の前のシュリを見つめると、シュリは「おまえに泣かれるのは、なんかイヤなんだよ。」と、シュリが泣いているかのような表情を見せた。
そして、シュリは水音を抱き上げ、ゆっくりと歩き出す。
「シュリ、どうしたの、急に……もう、歩けるよ?」
「ずっと話を聞いていたから疲れただろう?少し横になろう。」
「私、大丈夫だよ。」
「俺が疲れた。今はおまえとゴロゴロしたいんだ。せっかく、俺のものになったんだし。」
そういうと、シュリはゆっくりと水音を小さなベットにおろして、自分もその横に体を倒した。
そして、水音の肩を抱き寄せて、水音と離れないように抱き締め始めた。
「このまま聞いてくれ。」
「うん………。」
「俺は一人になってから、いろいろ考えたんだ。刻印の交換をしても、何も変わらないじゃないかって。また、同じ事の繰り返しなんじゃないかって思った。この刻印がある限りは。」
シュリは、自分の気持ちをゆっくりと丁寧に、だけれど強い口調で話し始めた。
一人で考えていた事を、他人に話すのは勇気がいる事だと、水音は理解し彼の話しを真剣に聞いた。
「だから、本当にそんな事をしていいのか、迷うようになったんだ。けど、レイトは白蓮の領地に行ってから、ますます白蓮に興味を持つようになったし、今の白蓮に、そして家族に仕返しをしたい気持ちが強くなっていったみたいなんだ。」
「………レイトも、華やかな白蓮の家で必死に戦っていたんだよね。」
「あぁ。でも、俺はやっぱり白蓮の助けを受けるのがイヤだった。レイトは俺に食料や着る物とか沢山の物をくれたよ。自分だけ裕福なのはイヤだって。けど、俺はそれが嫌で……。だかは、レイトに会わなくなった……。そして、生きていくために、殺し屋をし始めた。」
「………シュリ。」
「そして、あいつを裏切って、勝手に無色を手に入れた後に隠れた。そして、人を殺す仕事をしてる。……そして、あいつにも相談せずに刻印の交換を止めようとしてる。レイト、怒ってるだろうな。」
抱き締められてるので、シュリの表情はわからない。けれど、彼の声で、そして息づかいで彼が辛そうなのはわかった。