黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
その直後、部屋では何がぶつかる音や、剣が合う音が響いてくる。
シュリの元へ行きたい気持ちを堪えながら、水音は懸命に湖へと走り続けた。
シュリの足では、すぐに着いてしまう場所でも、水音は息を荒らして、やっと湖まで走った。
誰かいないかと辺りを見渡す。
今日は1日だ。白騎手がいると思ったけれど、水音がこちらに来ているので、見回りはないようだった。
ほっと安心して、シュリはゆっくりと湖へと近づいた。
先ほどの緊迫した雰囲気とは違い、ここはゆっくりと静かに時が流れていた。
喧騒なんて、嘘だったかのような雰囲気だ。
湖の水に触れて冷静になりたかったが、それがきっかけで元の世界に戻ってしまうのは避けたかったので、水音はただ湖を見つめていた。
そして、耳をすまして彼が来る音が聞こえてくるのをまっていた。
ガッシャンっと、音がした。
それは、聞いたことのある音だった。
それを聞いた瞬間。
水音は、振り向かなくても誰が来たのかわかった。
「水音………やっぱり、ここにいたんだね。」
「レイト………。」
湖にやってきたのは、金髪に青い瞳の白騎手の甲冑を身につけたレイトだった。
そして、レイトは、あのボロボロの短剣を手にして、ニッコリと微笑んでいた。