虚愛コレクション
プロローグ
「血を掻き出そうと思ったんだ」
そんな理由で癖づいた自傷を繰り返す彼が好きだ。
その、痛みも何もないかのように無表情で手首を切る彼が。
「ね、気持ちいい?」
快楽に溺れる彼との行為が好きだ。
この、自らの欲委せにする行為が。
「もし、俺といて死んだらごめんね」
青白い顔して、そんなこと微塵にも思ってないように言う彼は、少し、かなりイカれてる。
今日も明日も明後日も、私はそんな彼といる。
綺麗事など何処かに忘れて来た彼と私は、酷く歪な関係だった。
【虚愛コレクション】