虚愛コレクション
カクッと首を傾げ、一時食べるのを中断。
名前を言ってくれないので分からない。が、多分神楽くんの事か。
私の交遊関係なんて、彼が知っているのは千代と神楽くんくらいだろう。もしくは西くんか。
流石に女の子にアイツとは使わない筈だ。西くんとなんて顔を合わせたのは、ほんの一瞬。
なら、間違いはないだろう神楽君だ。
「神楽くんは友達なので、まだ会ってますが」
「ふぅん」
そんな声を漏らしながら、スプーンをカチカチ噛み始める。
子供みたいな仕草をするのは癖なのだろうか。以前もそうしていた。
「何かあるんですか?」
「……」
珍しく質問に黙り込むも、暫しの沈黙の後、彼は一言溢した。
「別に。気に入らないだけ」
「え……?」
呆気に取られたのはたった一回しか話していないにも関わらず、切り捨てるように言ったから。
そして、人当たりの良さそうな神楽君がまさかそんな風に言われると思っていなかった為である。