虚愛コレクション


――


唐突、いや、時間の問題だったから驚きなんてしなかった。

とあるファミレスで、ドリンクバーだけで数時間話し込んでた日の事。


「あ、あのね……西くんと、つっつつ……付き合う事になった、の」


精一杯動揺を抑えているのだろうが、抑えきれていないままに私に報告してくれたのだ。

一瞬、頭が真っ白になるもすぐに取り繕い、笑った。


「よ……よかったねっ!って言うか遅すぎ。仲良くしなよ?」

「う、うん……!頑張る……!」

「……」


頑張らなくていいよ。なんて言いたくなる私は悪い友達だろうか。

でも、千代が頑張れば頑張るほど、私は一人になるんじゃないかと恐怖が拭えなかった。

千代の中に付けられた優先順位の私は、今、何番目だろうか。


「で?その時の話、聞かせてくれるんでしょ?」


悪戯に笑いながらストローで、無意味に氷を掻き回す手は止まらなかった。


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