虚愛コレクション
根掘り葉堀り、聞くには聞いた。が、余り覚えていない。
いつの間にか気付けば帰り道に差し掛かっていて、隣ではニコニコと千代が笑っていた。
「えへへ。一杯喋って楽しかったっ!次は……学校で、かな?」
と、頭の中のカレンダーでも捲ったのか言う。
あと一週間と少しで学校なので、遊ぶ予定もなく言葉通りだ。
「うん。そうだね。あー……夏休み終わるの嫌だなぁ」
「そうだよね。普通そう言うよねー」
「何が?」
意味あり気に呟かれた言葉を即座に拾えば、千代は少し上を向くような形で不思議そうに言った。
「神楽がねーー。毎年、“夏休み早くおわんねぇかなぁ”ってぼやくの。変だよね?」
「え、学校好きって事……?」
恐る恐るになりながら聞いてしまうのは反射的だろう。
誰だって学校は嫌いだと思っている固定概念のせいかもしれない。
確かに楽しい事もあるが、勉強等と差し引けばそれはマイナスになり、嫌になると思うのだが。