虚愛コレクション


私の話を聞いて彼はどう思っているのか。

両親が浮気しているなどと誰にも話せないから、私からすれば吐き出し口があってありがたいくらいなのだが。

聞いてみようか。今の彼なら答えてくれるかもしれない。


「透佳さんは、私の話にどんな事を感じてるんですか」


ただただストレートに問い掛ける。静まる空間に紙を捲る音がした。やがて本は閉じられ、目が此方を向いた。

ああ、私がちゃんと話をしたいときには此方を見てくれる。


「俺にはこの本と同じだよ。それ以上でもそれ以下でもない」


と、少しだけ難しいような事を言う。


「それはつまり、面白くもなくただただ暇潰しって事ですか」

「言い方が少し悪かったね。この本に限るとそうだけど、俺はアンタの話をフィクションみたいに感じてる」


つまり、私の話は想像で書かれた創造物のようなものだと。それ以上でもそれ以下でもないと。

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