虚愛コレクション
サラリと吐き出された彼自身の情報。
彼にとって親がいいものでは無いことは何となく知っていたが、まさかそんな風に言うなんて思いもしなかった。
居て居ないと言うのなら折り合いが悪いのか。それとも他に何かあるのか……
「――……」
さすがに聞くのは憚られた。
けれど、彼は一体今までどうやって生きてきたのか。いつからこんな風なのか。独りで寂しくないのか。
不意に尽きることの無い質問が溢れてくる。が、結局は口を閉ざし、誤魔化すようにコーヒーを飲んだ。
チラリと彼を盗み見れば、手首を触り、何かを考えているように見えた。何を考えているのか、何を思ったのか。
またコーヒーを飲もうとした時、着信音が鳴った。
発信源は彼の携帯。テーブルにあるそれは止みそうにない。どうやら電話らしい。
彼はマグカップを置き、代わりに携帯を持ち、画面に触れて着信に応じた。