虚愛コレクション
素っ気なくても、このまま質問攻めで行きたい所だが、それだけでは彼は帰ってしまうだろう。何一つだって目の前の相手の事は分からないので、自分勝手の予想のだが。
そうして、考えた末に出た彼を引き止める言葉は何とも子供臭い。
「透佳さん、デートしましょう。デート」
子供臭い引き止め故に帰ってしまうかもしれないが、一応一緒に居る理由はあった方がいい筈だ。これしか思いつかなかったとも言うが。
行きましょうと、グイッと繋いでいた手を引っ張れば、遠慮なしにそれは払われる。
そのまま彼はポケットに手を突っ込み、少し首を傾げるような仕草をした。
「アンタってさぁ。何でそんなに会話のテンポ悪いわけ?と言うか、そこまで俺が好きとかじゃないよね」
「話題がコロコロ変わるのは性質です。そして、私は透佳さんが好きですよ?一目見た時から」
一度される瞬き。
「……嘘くさ」
吐き捨てられるように言われた言葉。
嘘ではない。本当でもない。どっちつかずなだけだ。それでも、この人には期待している。
綺麗事など言ってこない。と。
綺麗事などいらないのだ。ましてや、相手の事を気遣ったりするような見え透いた嘘なども。
「――……さ、行きましょうか?」