虚愛コレクション
デート。と言っても行く宛があるわけでもない。フラフラと街を歩くだけだ。実際には私が勝手について行っているだけだけれど。
雑踏に流されないように、半歩先歩く彼を必死に追う。
「アンタさ、男と付き合った事もないくせに、デートとかよく言えるね」
不意に歩く速度が緩められ、隣に。長身の彼を髪の隙間から伺うも、前だけを見ているだけだった。
何を思っているのか。馬鹿にしているのか。つまらないと思われているのか。やはり子供扱いでもされているのか。
いいや、何だっていい。私は私を貫くのみだ。
「そんなこと言うんですね。もしかしたら、中学生ながら付き合ってたかもしれませんよ?別れたばかりかもしれませんよ?」
「ないね」
ズバッと即答され、思わず眉をしかめた。
「どうしてですか?」
「教えない」
何となくだが、彼は何か根拠を持って話をしているような気がする。その根拠は分からない。
単に、この間の彼との行為が初めてだから。と言う事では根拠としては足りないのだが。
「……あっ、透佳さんて人間観察が趣味ですか?」
「違うね。少なくともアンタを観察する趣味なんかないよ」
また切るように言われてしまう。
「……透佳さんって私の事嫌いですよね」