虚愛コレクション
甘いお菓子を一口口に含んだ。
当たり前に甘いなと感じながらも、口内で噛み砕く。食べながら、私の目の前に座って幸せそうに同じお菓子を食べる千代を何気なく見ていた。
その視界の端にはチラチラと、とある男の子が映る。そういえばどうなったんだろう。と、事の経過が知りたくなり、何の脈絡もなく問い掛けた。
「千代さ、最近西君とはどうなの?」
「ふぇ!?え、えぇ!?な、何で今そんな話なの!?」
思いもよらぬ質問に、相手は分かりやすいくらいに動揺を見せた。
西君とは千代が好きな人なのだが、過剰に反応する辺り、まだ進展は無いと思われる。千代は内気な性格なので、自分から行かない為、当然と言えば当然だが。
また一口、お菓子を口に含んだ。千代も、次から次へとお菓子を口に運ぶ。気持ちを落ち着かせようとしているのか。
そんな風に動揺しながらもゴクリとお菓子を飲み込んだ後、ちゃんと答えてくれるのが千代である。
「ど、どうって言われても、私可愛くないし、西君優しいしカッコいいし……釣り合わないし……話すのもおこがましい……!」
ブンブンと眼前で手を振りながら弁解のような答えを吐いた。
「……」
相変わらずのネガティブ思考である。