虚愛コレクション
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「付き合えば?」
透佳さんが、一応は忙しくは無くなった。と言っていたので、マンションにノコノコやってきた。のだが。
「……透佳さんとですか?」
唐突に飛び出た事に、早々に置いてけぼり。ボケたつもりではない。外した答えだということも理解しているつもりだ。
彼は一言分、間を開けた。
「何で俺なの。あれ、この間ここら辺一緒に歩いてたやつ」
言われて一瞬考えるも、最近一緒に歩いてた男の子と言えばたったの一人しかいない。
「……神楽君ですか?」
「名前とか知らないけど、そうなんじゃないの」
全くもって西君の逆。男女が居ればそう言う関係になるとでも思っているのか、いや違う。彼の場合、私を追い払いたいだけなのかもしれない。
「神楽君はそんなんじゃないですし、私、透佳さんが好きですから」
返事はない。またうさんくさいとでも思っているのだろう。
暫しの沈黙があった。ポツリと透佳さんは言う。
「……恋愛って、思い込みなんだよ。今日から寝る前に神楽君が好きって10回念じる習慣付けてみたら分かるよ。いつの間にか本当に好きになってるから」
こうやって会話する間、ちゃんと目を見て話してくれるなら、少しくらい、私に居てほしいだなんて思ってほしいのに。
「――……そんなに、私を諦めさせたいんですか?」
「さあ?」
そうやって、はぐらかす。