【短完】だからどうか笑ってて
翔真は、驚いた顔をしたあとに、目を伏せた。だけど、それも一時的なものですぐに大きな瞳が瞼から覗く。
翔真の目が好きだった。色素が薄めの茶色の瞳は、瞳孔がよく見えるほどに透明感があって、硝子玉みたいで、綺麗だった。
「…何故?」
さっきは一瞬、あっけに取られた顔をしていたけどもう今は覚悟を決めたような顔をしている。
ツキン
ツキン
ツキン
さっき感じた痛みは止まない。むしろ、だんだん酷くなっている。
まぁ、それも仕方がないのかもしれない。
『飽きちゃったの、翔真に。他に、好きな人が出来ちゃったっ…。』
全部、嘘だ。今もまだ、こんなにも好きなのに。私は結局どちらに転んでもエゴで翔真を振り回すことしか出来ないから。
すぐに、覚悟を決めたような顔をされたのは少し、悲しかった。