僕の事飼いならしてよ
私は、カバンの中に絆創膏が入っている事を、思い出した。

「ちょっと、待ってて。絆創膏持ってくるから。」

「うん。」

陸君をその場に置いて、私は自分の席へ走った。


ただの生徒だったら、こんなに走らなかったかもしれない。

陸君だから。

急いで絆創膏を持って、倉庫の中に戻った。


「宮本君。」

こんな時に、名前で呼べない事がもどかしい。

「絆創膏、貼ってあげるね。」

「ありがとう。」

テープを剥がし、陸君の指で巻き付けると、胸がドキドキした。

陸君の指、あまりにも綺麗だったから。


「先生?」

ハッとして、私は急に立ち上がった。

「これでもう、大丈夫ね。」

陸君に背中を向けると、彼が後ろから抱きしめてくれた。

「ちょっと、ここで……」

「動かないで。」
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