彼が隣にいる理由
side 文香
仕事を終え、家に帰ると、当たり前のように彼はそこにいた。

自分の家にでも居るように寛いでいる彼に、文句を言う気すら失せる。


「おかえり、文香(ふみか)さん」


無邪気な笑顔を向けられ、あたしは曖昧な笑みを浮かべる。


「・・・ただいま」

「今日のご飯は、カレーにしてみた」


立ち上がり、彼はキッチンへと向かう。

そして慣れたように、料理をテーブルに並べた。


「一緒に食べよう」


そして2人で一緒に、食事を食べ始める。

食事を終え、あたしは2人分の食器たちを片付ける。

そんなあたしのことを、彼は背後から抱き締めた。

チラッと時計に目をやると、いつもの時間になっている。

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