彼が隣にいる理由
独り淋しく昨夜は眠りについたのに、目を覚ました時に隣に彼の姿があることに心が満たされた。

日曜日の今日、仕事は休み。

いつもより少しだけ、彼との時間が増える。

今日も、そっと彼の頭を撫でる。

自分だけの人には、決してならない人。

わかっているのに、切なく胸が締め付けられた。


「どうしたの?」

「え?」


閉じていた瞳が、ゆっくりと開く。

彼の頭の上で行き場を失っているあたしの手を包み込むように、彼の手が触れる。


「今日は、手が震えてる」


今日"は"って、今言ったよね?

なら、いつもあたしがしていたことは、彼にはお見通しだったってこと?

だとすれば、凄く恥ずかしい。

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