彼が隣にいる理由
「何かあった?昨日、遅かったみたいだし」

「別に。昨日は同僚たちとご飯行ってた」


・・・嘘は言っていない。

本当のことを言ったからって、彼が怒ることはないだろう。

むしろ、哀れに思われるだろう。

だから自分のプライドを守るために、あたしは真実を彼には言わない。


「何かあったら、言って。俺にできることなら、協力するから」


協力、か。

作り笑顔で、ありがとう。と伝えた。

そんなあたしのことを遠慮がちに彼は抱き締める。

この温もりも、いつかなくなってしまう。

そんな不安を誤魔化すように、あたしの彼の胸に顔を埋めた。

どうか、もう少しだけ・・・

彼との時間を味あわせて下さい。

そんなグダらない願い事なんかした。

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