彼が隣にいる理由
その日から、文香さんが現れるのを首を長くして待っていた。

そんな文香さんが再び店に来たのは、１ヶ月が過ぎた頃だった。

俺を見つけるや、こんばんは。と自分にだけ向けられた言葉に嬉しくなる。


「いらっしゃいませ。お待ちしてました」

「相変わらず、上手いですね」


笑って、そんな言葉を向ける。


「何にしますか？」

「お任せします」

「かしこまりました」


お任せなんて、女性ならよくある。

だから、お任せ。と頼まれた時は、決まって女性が好きそうな甘いカクテルを作る。

でも今日文香さんにピッタリのさっぱりして、飲みやすいカクテルを俺は用意した。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


気に入ってくれただろうか？

柄にもなく、文香さんの感想を聞くまで変な緊張をしてしまう。



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