彼が隣にいる理由
「文香さん。浮気しちゃダメだよ」


首元に顔を埋め、彼は言う。


「明日も仕事だから、お風呂に入ったら寝るよ」

「うん」


嬉しそうに笑みを零し、彼は部屋を出て行く。

彼が居なくなり、ソファに体を預けると、彼の香水の匂いがほのかに香る。

居なくなったはずなのに、居座り続ける彼の存在があたしのことを悩ませる。

いつまで、こんな生活を続けるつもりなのだろうか?

自分でも、未だにその答えがわからない。

あたしと彼は、付き合っているわけではない。

彼は彼氏でもなければ、あたしも彼の彼女ではない。

それなのに、約1年近くこの生活が続いている。

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