彼が隣にいる理由
そんな俺の追うように、文香さんは隣へとやって来た。


「こんなおばさんに優しくなんかしたら、勘違いされるよ」

「さっきからおばさんって、俺とそんな変わらないでしょ?」

「変わるよ!男と女じゃ、年の取り方が違うし」


年の取り方が違うって、みんな一緒だろ。


「君、何歳?」

「25」

「あたしは、もう29。30までには結婚もしたいし、年下と遊んでる時間ないの。だから、これ以上構わないで」


文香さんに一線を引かれたようで、酷く傷ついた自分がいた。


「なら」


文香さんの腕を引き、自分の胸の中へと引き寄せる。


「文香さんが、俺に構ってよ。遊びじゃなく、真剣に」


年なんて理由にされたら、俺には何もできない。

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