彼が隣にいる理由
「若過ぎる。キャンプって、これが普通なの?」


愛子にだけに聞こえるように、あたしは尋ねる。


「知らないわよ。あたし、初めてキャンプなんか来たし」


愛子の言葉に、開いた口が塞がらない。

メンツも知らず、キャンプにも来たことないのに、なぜ愛子は行こうと思ったんだよ。

あたしからしたら、その愛子の価値観が信じられない。


「お前ら、やっと来たか!」

「咲大のこと拾ってたら、遅くなった」


遠くから聞こえてきたやり取りに、心の中でため息を零す。

まだ、増えるの?

どうせ、若い子なのだろう。

そう思い、視線だけを送る。


「イケメン」


隣に居た愛子が、そんな言葉を漏らす。

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