彼が隣にいる理由
「○○社の人?」

「そうそう!!覚えててくれて、嬉しいよ」


爽やかな笑みを浮かべた佑樹くんに、少しだけ警戒心が溶ける。


「いつもマスクしてるから自信なかったんだけど、人違いじゃなくて良かった~」

「仕事柄、マスクと手袋とはお友達なんです」

「マスクしてても美人な人だとは思ってましたけど、外しても美人ですね」


流石、営業さん。

口が上手い。


「ありがとうございます。社交辞令でも、嬉しいです」


社交辞令に謙遜しても仕方ないと思い、当たり障りのない言葉を返す。


「かわすの、上手ですね。文香ちゃんみたいな美人には、相手にもしてもえないですか?」

「佑樹くんの方が上手だよ。あたし、美人なんかじゃないし」


あたしは至って、普通の分類だ。

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