彼が隣にいる理由
「じゃ、約束」


そう言って、佑樹くんは小指差し出して来たので、あたしもその小指に絡ませる。

無邪気な佑樹くんが可笑しくて、自然と笑みが溢れた。


「あ、バカにしてるでしょ?」

「そんなことないよ。ただ、面白い人だなぁと思って」

「面白いって。でも悪い印象じゃないだけ、まだマシなのか?」


そんな自問自答する佑樹くんが可笑しくて、また笑ってしまった。

こんな風に、男の人と素直に心から笑い合ったのはいつぶりだろう。

なんだか、凄く久しぶりな気がする。


「楽しそうだね」


いつの間に戻って来たのかわからないが、愛子があたし達の様子を見て声を掛けてきた。

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