彼が隣にいる理由
「後はあたしがやって置くから、先に休んだら?」

「こんな真夜中に、文香さんのことを1人にはさせられないよ。それに、いつもならまだ仕事してる時間だし」


夜の仕事の彼にとって、今は起きていて当たり前の時間帯だ。

むしろ寝ろと言った方が、彼にとっては難しい話なのかもしれない。


「なら、一緒に片付けよう?」


そして、2人で後片付けを始めた。

ほどんど彼が先にやっていていたこともあり、大して時間は掛からずに片付けは終わってしまった。

少し休憩がてらに、2人掛けのベンチに一緒に腰を掛ける。


「まさか、文香さんが居るとは思わなかった」


不意に、彼がそんなことを口にする。

それを言うなら、あたしもだよ。

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