彼が隣にいる理由
今の関係を終わらせるのがベストなのだが、彼と一緒に過ごす時間を終わらせたくない。

そんな矛盾だらけなあたしだが、決めていることがある。

決して、彼を求めない事。

決して、気持ちを口にしない事。

あたしは彼との関係の変化を恐れながら、疑似恋愛にも似たこの関係を保っているのだ。

次の日、目を覚ますと隣には彼の姿があった。

そんな彼の頭を、起こさないようにそっと撫でる。

そっか、昨日は金曜日だった。

彼から女物の香水の匂いがし、切ない胸の痛みに襲われる。

金曜日と土曜日はお店が忙しいらしく、疲れて帰って来た彼は、たまにシャワーを浴びずに寝る時がある。

文句なんて言える立場じゃないと理解しているが、そんな日はあたしは無言の反抗をするのだ。

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