彼が隣にいる理由
アラサーのあたしにとって、それがどんなに無駄な時間か、彼には理解できないだろう。

抜け出したいのに、抜け出さなきゃイケないのに・・・

終わりと言う出口に向かおうとしないあたしは、未だにおとぎ話のお姫様を夢見ているバカな女。

王子様とお姫様は、おとぎ話の世界でしか存在しないと言うのに・・・

この年になってまで、どうして夢物語を見続けているのだろう。


「疲れてるんじゃない?早く休もう」


彼の手を引き、彼の返事も聞かずに、あたしは歩き出す。

そんなあたしの手を力なく握る彼の顔を確認する勇気なんて、今のあたしにはない。

捨てないで欲しいのは、あたしの方だ。

だけど、そろそろ本当に終わりにしなければイケないみたいだ。

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