彼が隣にいる理由
疲れて帰って来ても、滅多なことがない限り、彼は朝ご飯と晩ご飯を用意してくれる。

でも今日みたいに女の匂いがした日は、決して朝ご飯には手を付けない。

そんな些細な反抗に、きっと彼が気付くことはない。

身支度を済ませ、あたしは仕事へと向かった。

あたしは歯科衛生士として、歯科クリニックで働いている。


「おはようございます」


更衣室で着替えをしていたスタッフたちに挨拶をし、あたしも制服へと着替え始める。


「文香、今日の夜暇?」


同い年で、1番気心の知れた仲の佐藤愛子(あいこ)に声を掛けられる。


「特に予定はないけど」

「合コン行こう!」


・・・またですか。

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