彼が隣にいる理由
年なんか気にする前に、俺のことを見てよ。

俺自身のことを、ちゃんと見てよ。


「出会ったあの日から、俺は文香さんのことが好きだった。始めは変わった人だと思ったけど、段々と目が離せなくなって、文香さんをもっと知りたいとも思った」


あの頃から俺は、文香さんの気を引こうと必死だった。


「バーテンダーなんかしてるし、チャラそうに見えるかもしれないけど、俺は誰にでも酒を奢ったり、仕事を抜け出して送ったりなんてしない。全部文香さんだったから。俺は俺なりに、真剣に文香さんのことを考えてた」


でも、文香さんは違うんだろ?

そう思い、文香さんのことを見る、涙で頬を濡らしていた。

俺が、文香を泣かした?

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