16歳と18歳
これもまた緑のネクタイをしているので3年生だ。
女子生徒は、手ぶらなので本でも見に来たのかとはじめは思った。しかし本を見る気配はなく、手ぶらのまま私の隣の隣に座って、つまり男子生徒の前に座って、
「ねえぇー、とぉまぁー!起きてよ‼︎探したんだけど⁉︎」
と、男子生徒の体をさすりながら言う。結構親しいようだけれど、どういう関係なのだろうか。その後も「とーまとーま」言って起こそうとするが起きない。
いや、というより起きたくないのであろう。と、彼女は察した。
女子生徒は、諦めたのか「ね、あんたとーまに『可愛いリカコ先輩来てましたよー』って言っててくんない?とーま授業中も寝てるくせに全然起きないからさ。」と、手を合わせて首を傾ける。あまりの圧というかそういうもので一度だけ頷けばいいのに自然に何回も頷いてしまっていた。
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