ふたりごと
いつもよりそわそわしているわたしをみて、お母さんは嬉しそうにココアを入れてくれた。
『今日はなにかいいことでもあるの?』
そう言いながらお母さんがわたしのカップに凍らせた生クリームを一つ落とす。
『いいこと…うん、いいことがあるの』
ココアを一口飲むと、わたしの心が穏やかになっていくのがわかった。
小さいときからこのココアが大好きだった。
家のココアは甘いものが苦手なわたしでも飲めるように少し苦めに作られている。
その苦いココアに生クリームが溶けたあとの柔らかい味がわたしを優しい気持ちにさせてくれるから。