ふたりごと
駅前に着き辺りを見渡す。
待ち合わせまであと30分。
ベンチに座って本でも読もうかと思った瞬間、後ろから声をかけられた。
『美雨、おはよう。来るの早いなー、って俺もか』
笑いかけているのは直人くんで、心の準備がまだ出来ていなかったわたしは突然のことにどきまぎした。
『お、おはよう直人くん。
ちょっと早く着いちゃって…』
とりあえず行き先を決めよう、と言って彼はわたしの隣に座った。
距離が近くてうまく思考が働かない。
『今日、ミルクは一緒じゃないの?』
ミルクの姿が見当たらない。
直人くんが外にいるときはいつもミルクがそばに居るはずなのに。
『今日はミルクはお留守番なんだ。
あいつ結構年だからたまには休ませなくちゃ、と思って』