ふたりごと
本でも読もうかとかばんの中に手を伸ばしながら、ふいに窓の外を見た。
午後から雨の予報が出ていたけど、もしかしたらもう少しはやくから降り出すかも…
そう思わせるような曇り空の中を、白いものが通りすぎた。
『おーい、席に着け』
そんなことを考えていたら、担任の松田先生がもう教室にきていた。
『今日は転校生を紹介する』
教室の中が一気にざわざわとする。
高校3年の9月に転校してくる人などまず居ない。
何か事情でもあるのだろうか。
わたしには、関係ないけれど。
『神崎ー、入ってこい』