雨宿り〜大きな傘を君に〜

何気なしに開いたメール本文は"密会!"と短いものだったけれど、写真付きだった。

そしてその写真には、

菱川先生と、佐渡先生のツーショットが収められていた。


先生は俯いていて表情はよく見えないけれど、見間違えるはずはない。
どうして佐渡先生と一緒にいるのだろう。


崎島に素っ気ない返事を返す。


"どこで見かけたの?"

"高校行くのだるくて繁華街さまよってたら、今さっき遭遇した。途中で見失ったけど"


今さっき。
それじゃぁ今も一緒にいるのかな。


塾に直行するのではなく寄り道するくらいなら、私と居てくれても良かったのに。高校をズル休みすることは滅多にないのだから、お茶にでも誘ってくれたら良かったのに。

ううん。無理だよね、この頰では…。

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