雨宿り〜大きな傘を君に〜
菱川先生を責める権利は私にはないし、彼が誰と会っていようと口を挟むことはできない。
好きだという気持ちを先生に押し付けることも間違っていると分かっているけれど、どうしようもなく哀しくなった。
だから、
"この時間に返信くれるの初めてだけど、もしかして学校休んでる?"
"やることないなら、遊びに行こうぜ"
崎島の誘いに乗ってしまったのだ。
「本当に私、外に出れる顔じゃないんだけど」
「でも昨日より良くなったな」
高校を休んでいるにも関わらず、2人とも制服だった。
待ち合わせに指定された場所は図書館で、やっぱり崎島は不良になりきれていないと思った。
「次の期末テストに出そうなところ、予想してやる」
「本当?助かる!」
隣り合って座り、声を潜めて会話をする。
本のページをめくる音が聞こえそうなくらいに館内は静まり返っていた。