雨宿り〜大きな傘を君に〜

「そっか。俺の考え過ぎか!」


「そうだよ。ところでホットドッグどこにあるの?お腹空いた」


「向かいの公園!仕方ねぇから先に行って注文しとくよ!」


そう言って駆け出した崎島の後を追う。


初めてできた友達なのに、正直に打ち明けられなくてごめんね。崎島を信じていないわけではなくて、菱川先生を好きだと言い続けられる自信がまだ無いんだ。

誰かに頑なにこの恋を否定されたら、折れてしまいそうな弱い心だから。


それでも覚悟ができたら1番に崎島に報告したいと思うんだ。きっと反対されるだろうけどね。




ホットドッグを食べながら、くだらないことを言い合い、落ちていたボールを蹴って遊んだ。


なんの変哲も無い公園が、崎島と一緒に居るだけで楽しい場所に変わる。


嫌なことを、崎島が忘れさせてくれた。

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