雨宿り〜大きな傘を君に〜
菱川先生からのメールの返信はなくリビングで待機していていると、玄関の扉が開く音がした。
走って出迎えると、スーパーの袋を持った先生が鍵を閉めていた。
「先生、今日はごめんなさい」
「塾長から理由は聞いたよ。次から気を付けて」
「はい…」
崎島から送られた写真が脳裏にチラつく。
聞いてもいいことだろうか。踏み込むことは許されるだろか。
「焼きそばにしようと思って。手伝ってくれる?」
「はい!野菜切りますね!」
ネクタイを解きながら、リビングに向かう先生の後を追う。
高校を休んだにも関わらず図書館に出歩いていたことを指摘されず、私だけが先生に質問することはフェアでない気がして、
佐渡先生と外で何をされてたんですか?
その言葉は飲み込んだ。