雨宿り〜大きな傘を君に〜
1日の講義が終わり、バッグに荷物を詰めていると崎島が隣りに立った。
「なぁ大野、14日ヒマだろう?塾終わったら、みんなで遊びに行くんだけど、一緒にどう?」
バレンタインデーの3日前、そう誘われたけれど首を振る。
「いいじゃん、大野ちゃん!」
崎島の友達も最近はよく話し掛けてくれるようになり、以前よりもずっと塾での居心地が多い。
「そうだよ、うちらと出掛けようよー」
「ありがとう!でも今回は遠慮しとくね」
まだ友達との距離感が分からないから、とりあえず笑っておく。
「崎島、ありがとうね」
「気が変わったら言えよ」
気を遣わせちゃったね、崎島。
上手くできたらみんなにもチョコレートを配ろうかな。