雨宿り〜大きな傘を君に〜
崎島が送ってくれて、写真のことが気になって崎島と待ち合わせしたことを打ち明けた。
「つまり、これを見て俺たちの仲を誤解したと」
「だってわざわざ外で会っているから…」
「佐渡先生が緒方さんのことしか見てないことを知っているから、軽率にデパートまで付いて行ったけど、俺にも隙があったな。後、ハナちゃんと出掛けている姿を見られててさ。口止め料に高いランチ奢らされた」
先生は私に聞きもせず写真を削除した。
先生に私がキスをしたあの日、佐渡先生に目撃されてしまったようだ。私がワガママを言ったから…。
「菱川先生は、本当に佐渡先生のことを…」
「彼女は同僚、それだけだよ」
その答えに、心にあったもやっとした何かが一瞬で消え去った。
良かった…。
2人はなにもなかったんだ。
「どうして有明のこと、話してくれなかったの」
「私のことを殴ったらもう先生のことは諦めると言ってくれたから…」
「なんだよそれ」
「…有明さんのこと、怒らないであげて。その代わり……彼女のことはもう、忘れてください」
「俺はもう忘れたつもりだけどね。まぁいいや。ハナちゃんが納得して済んだことなら、口は出さない。でもこれからは何かあったら隠し事せず、きちんと話して」
ハナちゃん。
そう呼ばれると心が落ち着く。
「そうじゃないと俺、崎島に嫉妬するぞ」
「崎島?」