雨宿り〜大きな傘を君に〜
土砂降りの中、コンビニで1本の傘を買い、ハート型のオブジェの前に立つ。
「ハナちゃんの携帯、防水で助かったよ」
地面に叩きつけるような激しい雨に、周囲な人影はなくなっていた。
「でも雨のおかげで待ち時間ゼロですよ」
「得したね。お、また点灯を始めたよ」
今度は真っ赤にハートが光る。
ナイスタイミング。
「撮りますよ。ハイ、チーズ」
シャッターを切った。
不思議な気分だ。
数時間前はこの広場で先生に叩かれ、泣いた。自分のしてしまったことへの罪悪感に押しつぶされそうになっていた。
「なに考えているの」
「自分の最悪な行いを反省してます。後、幸せだなって」
「俺も幸せだよ。ハナちゃん濡れるから、もっとこっち来て」
肩を寄せて、同じ傘に入る。
「さぁ帰ろう」
「はい」
お母さん、ごめんなさい。
あなたを悲しませるようなことはもうしないから。私を呪わないよう、神様にお願いしてくれますか?