雨宿り〜大きな傘を君に〜
本来であれば緒方さんの元に届くはずだった佐渡先生の想いを、私が台無しにしてしまった。
「緒方さん、佐渡先生と知り合いだったのですね。昨日、聞きました」
「ああ。佐渡先生が大学で専攻してたことと俺の専門分野が一緒でな。色々と世話になってる」
「お付き合いされているんですか」
敢えてとぼけて聞いてみると、緒方さんはわざわざ私を振り返って呆れ顔をした。
「ありえないだろ」
「なんでですか?佐渡先生、素敵ですよね」
「10も離れてるんだぞ」
「10歳くらい、いいじゃないですか。佐渡先生も年の差なんて気にしないと思います」
残念ながら緒方さんは佐渡先生の好意に気付いていないらしい。
「無理だ、無理」
「どうしてですか?好きな人と年の差が10歳あったら、緒方さんは諦めるのですか?」
人ごととは思えなくて後部座席から身を乗り出して問う。2人が上手くいってくれないと、私は佐渡先生に合わせる顔がなくなってしまう。
「…托人に直接、聞けばいいだろう」
私の真剣さを勘違いした緒方さんは明らかに面倒くさそうだ。