雨宿り〜大きな傘を君に〜

菱川先生が公式の成り立ちについて説明している最中に授業終了を告げるチャイムが鳴り響いた。


今日はこれで最後の講義だから帰れる…。


「今日はここまでにします。ありがとうございました」


中途半端なところでもさっさと切り上げて、復習を促すコメントもなく菱川先生は壇上から立ち去って行く。彼はいつもそうだ。


崎島にまた絡まれることも面倒で、私も急いで帰る支度をした。


バッグに参考書を詰め込み、駆け足で教室を後にする。


ようやく長い1日が終わる。


そう気を抜いた瞬間、通学バッグを強い力で引っ張られた。

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