雨宿り〜大きな傘を君に〜
「俺のことを好きというよりも、俺の講義が好きと言ってくれた方が、嬉しいんだ。だから、ありがとうね。ハナちゃん」
ーー1番俺の欲しい言葉をくれて。
信号待ちの時、先生はそう言って笑ってくれた。
私も同じだ。
あなたは私の欲しい言葉を、望んでいた温もりをくれた。
例えそれが可哀想な女子高生のための、一時の親切だとしても。あなたが傍に居ると言ってくれているうちは、甘えてもいいですか?
先生の話を真剣に聞いていた私が物珍しいだけだということも分かってる。だから大丈夫。
決して自分が特別だなんていう、馬鹿げた勘違いはしないから。
もう少しだけ、ひとりの世界から私を遠ざけて。
休んだらまた、ひとりで立てるように踏ん張るから。どうか今だけはーー