雨宿り〜大きな傘を君に〜

お寿司を食べ終わると、緒方さんはお風呂に向かい、菱川先生は洗い物をしてくれた。


私はリビングで洗濯物を畳む。


そして崎島からのメールが届いた。
滅多に振動しないバイブであったのに、最近は崎島からの連絡が多く、携帯に触れている時間が増えた。

用件のない何気ないメール。
それは私と崎島が友達である証のような気がして少し嬉しい。



「なに?面白いことが書いてあるの?」


洗い物を終えた菱川先生がこちらを見ていることに気付き、咄嗟に携帯を後ろ手に隠してしまった。


「あ、いえ…気になったニュースがあっただけです」


我ながら下手な誤魔化し方だ。


「そっか」


「……そういえば先生!日曜日どこでお買い物しますか?朝からですか?」


気まずさから早く話題を変えたくて、早口になる。


先生は私の隣りに座ると、洗濯物を畳み始めた。洗濯は私の分担なのに、毎日のように手伝ってくれている。


「まだ全然決めてないや。とりあえず少し遠出して、リフレッシュしようか」


「はい……」


崎島と同じようなことを菱川先生は言った。
なんで被るのかな…。
もしかして私が疲れているように見えるとか?

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