小悪魔彼女×溺愛彼氏
「美桜、なんかあったのか?」


いつも口は悪いけど、
こうやって異変に気付いてくれる
優しいお兄ちゃん。
よく相談してきたけど、
今回は…言えない。


「なんもないよ?大丈夫だから!」


ニコッと笑って見せた。
そうだ、こういう笑顔は得意だもん。


「…っ」


お兄ちゃんは何か言いたげな顔をしたけど、
それをとどめ、「そうか」とだけ言って
私の頭をポンと撫でてから
先にリビングへと向かった。


***


無理して大丈夫と言ったものの、
私は斗真の顔を未だに見れない。


朝の登校中。


いつもと変わらない景色、日課。
そのはずなのに…。
私は斗真の隣にいてはいけない気がする。
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