俺の「好き」は、キミ限定。
ミオが中学の頃、バカな男に傷つけられたって……それは一体、どういうことだろう。
もしかして、たっちゃんの言ってた"ミオのお姉さん"と、何か関係があるのだろうか?
「美織のドジな話を、僕がユウリくんに教えてあげてただけだよ」
思わず考え込む俺を横目に、たっちゃんがさり気なくミオをからかった。
「な、な……っ、ドジな話って何!?」
「えー? アレとかコレとかソレとか? でも全部、僕とユウリくんだけの秘密だから。ねっ、ユウリくん?」
「え……っ。う、うん」
戸惑いながらも頷くと、ミオは真っ赤な顔でたっちゃんに抗議した。
そんなミオをたっちゃんは意にも介さず、相変わらず綺麗な顔で飄々として笑っている。
「もう! たっちゃんのイジワル……! でも……たっちゃんとユウリくん、いつの間にか仲良くなったんだね?」
「え?」
「ふふっ、嬉しい。私たちより、ユウリくんとたっちゃんの距離が縮まったみたい」
そう言うミオは言葉の通り、とても嬉しそうだった。
だからこれ以上、たっちゃんの言う"ミオの過去"について聞くことはできなくて……。
すっかりと氷が溶けて、薄くなったジンジャーエール。
グラスを持って口に含むと、なんとも言えない苦味が口いっぱいに広がって、胸の奥がざわめいた。